コラムTanuma Animal Hospital

コラム

犬の認知機能不全症について

みなさんは高齢性認知機能不全症というものをご存じですか?

一般的に「認知症」と呼ばれるもので、加齢に伴う腫瘍や臓器不全といった医学的要因が関与していない、脳の変化が原因で様々な行動障害を起こすことを言います。

【症状】
・なじみのある人や動物、場所を認識できなくなる見当識障害
・活動に無関心・無気力になったり家の中をうろうろ歩き回り自分を中心に円を描くように歩き続ける(旋回行動)
・トイレの失敗、夜間の徘徊や夜鳴き 等

 

これらの症状は年齢と共に少しずつ進行します。
しかし、気を付けておきたいのが、老化や認知症によるものではない場合があるということです。

 

実際は痛みや病気など、別の原因が潜んでいる可能性がある為、単純に老化や認知症と考えずにまずはそれらを除外することが重要です。

 

【予防と対策】
認知機能不全症は脳の老化であり、これらを止めることはできません。
少しでも進行を遅らせ、飼い主さんと愛犬が共に快適に暮らすことを目標にすることが大切です。

 

<トイレを失敗する場合>
足腰が弱っている老犬はトイレまでの移動に時間がかかる為、生活場所から近い所に設置します。
視覚が低下しているようであれば、ジョイントマット等を敷き、足裏の感覚を頼りにたどり着きやすくしてあげます。
このように排泄をしやすい環境づくりにしてあげましょう。

 

<夜間の徘徊・夜鳴きをする場合>
昼間に刺激を与えましょう。
日中にたくさん寝てしまうと夜に眠くなりにくくなります。お外に出して外気浴をさせると体内時計を整えるだけでなく、匂いや音など、家にない刺激を与えることができるため効果的です。

 

その他、オスワリ、フセ、知育トイを使った簡単なトレーニングを行うと進行を緩やかにすることができます。それでも夜鳴きの改善が見られず症状が進行していく場合にはサプリメントや鎮静剤を使うこともあります。

鎮静剤等のお薬を使う事に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、飼い主さんが睡眠不足で疲れてしまっては大切な愛犬をサポートすることが出来なくなってしまいますので、このような場合には無理をせず、動物病院にご相談されることをお勧めします。

 

脳の老化である「認知症」は体の老化と一緒で年を取るにつれて、避けては通れないですが、脳の老化を出来るだけ緩やかにし、飼い主さんと愛犬の双方が快適に暮らせるように環境を整えることで、穏やかな生活を送ることが出来ます。

 

どの様な方法があるか等悩まれた際にはお気軽にご相談ください。

 

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