コラム
CT検査・MRI検査について
人のCT検査やMRI検査は馴染みのある方も多いかと思いますが、実は今動物にもCT検査・MRI検査が導入されている事をご存じでしょうか。
CT検査・MRI検査とは画像診断を行う際に用いられ、CTはX線装置が体の周囲360度を回転しながら連続撮影し、断面を写し出す事が出来る装置です。
MRIは強力な磁力を利用し体の中を調べる装置です。
多くの動物病院で受けられる画像検査には、超音波検査(エコー検査)とレントゲン検査が挙げられます。
エコー検査は超音波検査を利用したもので、お腹の臓器や心臓検査に多く用いられますが、お腹の深い箇所や肺など空気のある部分は見えにくい場合があります。
またレントゲン検査は1方向からのみ撮影する為、平面の画像となり臓器が重なって見え、正確な診断が出来ない場合があります。
そこで活躍するのがCT検査・MRI検査です。
CT検査はレントゲン検査と同じX線を利用した機械ですが、得られる画像は大きく異なります。
多方向から撮影する為、様々な角度の断面画像を診る事が可能になります。
また立体3D画像として得られるのも特徴の一つです。これを用いて手術の設計図としても活躍しています。
主に、骨格の異常・臓器系の異常個所・腫瘍性病変の把握に利用されます。
体の各部位に出来た腫瘍(位置や大きさ、癒着の有無や転移の有無)・門脈シャントや、歯や骨の形状の確認(骨折や脱臼、外傷や奇形)・消化管内異物(誤飲・誤食)等が挙げられます。
広範囲で短時間かつ正確に調べる事が出来る検査です。
しかし、X線は骨を通過しにくい傾向がある為骨に囲まれた部位の検査には不向きになります。
そこでこれらの部位を調べるのに有効なのがMRI検査です。
磁力の力を利用し、縦・横・斜めとあらゆる断面、角度で描出が可能です。
骨に覆われた部位に多く用いられ主に、脳や脊髄の疾患がないか調べるのに適しており、椎間板ヘルニアや脊髄腫瘍、脊髄梗塞、脳炎、水頭症、内耳炎、前庭疾患などに適しています。
診断や治療に大活躍のCT検査・MRI検査ですが、実は動物がこの検査を行うには全身麻酔を行う必要があります。
機械は動きに非常に敏感で、少しでも動いてしまうと画像がぶれてしまいます。
また検査中は機器の寝台が前後に動いたり、MRI検査は大きな音も鳴ります。
いくら大人しい動物でもじっと動かないでいるというのが難しく、全身麻酔は必要不可欠になります。
全身麻酔には人間同様リスクが生じますので、検査を行う際にはそちらを踏まえて検査に踏み切るか考えなければなりません。
ここまで、CT検査・MRI検査の重要性やリスクをお話ししましたが、実際にどこの動物病院にも設置されている訳ではありません。
装置の導入には費用がかかり、維持費や設置スペースの確保問題、また機械を操作する技術力には幅広い知識と経験が必要になります。
その為人間医療と比較するとまだまだ動物医療への導入が少ないの現状です。
当院でもCT検査・MRI検査の必要性がある動物達には飼い主様にしっかりとご説明させて頂いた上で病院をご紹介させて頂いておりますので、診察の際に設備のある病院をご希望の方はご相談下さい。