コラム
犬・猫のリンパ腫
今回は「犬・猫のリンパ腫」についてお話します。
犬・猫の腫瘍性疾患の中でも比較的多い「リンパ腫」とは、リンパ球と言われる細胞が腫瘍化したものです。
リンパ球は異物の侵入から体を守る免疫の役割を担っており、普段体中を巡っている細胞ですが、特に皮膚や消化管粘膜、リンパ節という部位に多く存在しています。
体の一部に炎症や感染が生じると、それに反応して体を防御しようとし、付近のリンパ節が腫れます。
それがリンパ腫になると、炎症に関係なくリンパ節が腫れたり、皮膚や腸に病変が形成されます。起こってしまう原因についてはいまだ明確になっていません。
リンパ腫が見つかるケースは様々ありますが、犬では飼い主さんがしこりやリンパ節の腫れを見つけて来院される場合が多く、猫では消化管型リンパ腫が多い為、嘔吐や食欲不振等の症状で来院され、超音波検査やレントゲン検査で発覚する場合がよくみられます。
リンパ腫を疑うようなしこりやリンパ節が見つかった場合には、注射針を刺し細胞を採る検査(細胞診)や、全身麻酔下で切除し病理検査という専門の検査機関で診てもらい診断していく方法があります。
リンパ腫にもいくつかの種類があり、犬で最も多くリンパ節が腫れる腫瘍の「多中心型リンパ腫」や、猫に多く、主に胃や腸に出来る「消化管型リンパ腫」、胸の中や、若い猫に多い「全縦隔型リンパ腫」、鼻の中にできる「鼻腔内型リンパ腫」も多くが猫に発症します。また皮膚に発生する「皮膚型リンパ腫」もあります。
リンパ腫と診断された場合、治療方法は主に抗癌剤治療が勧められます。
数種類を併用して使う「多剤併用療法」が主に選択される治療法ですが、リンパ腫の種類によっては1種類の抗癌剤を使う「単剤療法」が選ばれることもあります。
リンパ腫が発見される段階やグレードにもよりますが、無治療の場合は余命1~2ヶ月と言われています。治療を行った場合は、半年~1,2年存命出来る子もいます。
ただ治療終了後再発してしまう場合もあります。
ただのしこりと思っていたものが腫瘍だったという場合や目に見えない内臓器系で進行している場合もあります。
定期的に健康診断を行い、気になるしこりや腫れに気付いたらお気軽に病院へご来院下さい。