コラム
食べ物の中毒症について
バレンタイデーにちなんで、今回はわんちゃん、ねこちゃんのチョコレートやその他の食べ物の中毒症についてのお話しです。
人が食事をしている際、わんちゃん、ねこちゃんに横でおねだりをされるとついついあげたくなってしまいますよね・・・。しかし人が食べて大丈夫な物であってもワンちゃんネコちゃんが食べてしまうと最悪の場合、死に至るような食べ物があります。代表的なものをいくつかご紹介しますのでご参考下さい。
◆チョコレート・ココア
皆さんも一度は聞いた事があるかと思いますが、チョコレートやココア等カカオ類には中枢神経を刺激する成分が含まれています。
大量に摂取すると下痢、嘔吐、痙攣、呼吸困難を引き起こす危険性があります。
人はチョコレートに含まれるテオブロミンを効率的に排除できますが、犬はテオブロミン物質を分解できず、嘔吐や下痢の原因となります。
◆ぶどう・レーズン
フルーツ類で注意が必要なのがぶどうやレーズンです。理由は定かではないものの、嘔吐、腎機能障害(おしっこの不調)を引き起こします。
レーズンを含んだパンも危険です。
大量に摂取してしまうと嘔吐、下痢、腹痛、腎不全を起こす危険性があります。
◆キシリトール
ガム一枚でも低血糖(=血液中の栄養素であるグルコース濃度が低くなること)を起こします。チョコレートと並んで決して与えてはいけない食品の一つです。キシリトール配合の歯磨き粉などにも注意が必要です!
◆たまねぎ・長ネギ・ニラ
ねぎ類に含まれるアリルプロピルジスルファイドという物質が赤血球を破壊し、溶血性貧血の原因になりうると言われています。
すき焼きの残り汁、ねぎのかけらが入った味噌汁やその他の料理、らっきょうなども厳禁です!しょうが・あさつき・ニンニクなどにもこの成分が含まれています。
◆アルコール
人間と犬・猫の体の大きさは違いますので、人間にとっては許容量のアルコールでも犬にとっては有害になります。面白半分で与えるのはやめましょう。
◆生もの
生卵や生の魚介類にはビタミンのバランスを崩す成分が含まれるものが多く、ふらつきや歩行困難を起こしてしまうケースがあります。
◆牛乳
中毒性はありませんが、人間用の牛乳は脂肪分が高いためカロリーが高く、また犬・猫は牛乳中に含まれる乳糖を分解する酵素を持たないので下痢を起こしやすくなります。与えるなら犬・猫用ミルクにしましょう。
◆ジャガイモの芽
芽に含まれる「ソラニン」等の成分が体調不良を招きます。大量摂取による人間の死亡例もあります。
◆スモモ・モモ
未成熟の果実、種子の中身を誤食すると呼吸困難、虚脱、ケイレンをきたすことがあります。
◆サトイモ
茎や球茎にシュウ酸カルシウムの結晶が含まれているため、誤食すると口内炎、舌炎、よだれ、皮膚炎などを招きます。
◆トマト・ナス
実よりも、芽や葉を誤食すると、嘔吐、腹部の痛み、血便、下痢、めまい、口内の乾燥、呼吸困難などを引きおこすことがあります。
◆アボカド
果実や葉、種子、樹皮に含まれるペルジンという成分が犬や猫には毒になります。
嘔吐、下痢などを引き起こし、多量に摂取したときに発症するとされています。
◆味の濃ゆいもの(塩分を多く含むもの)
(必ずしも有害というわけではありませんが、)犬や猫はほとんど汗をかかないのため、塩分を取りすぎてしまうと体内に蓄積されてしまいます。
そうなると腎臓などに負担がかかってしまい、腎臓に持病がある子は病気を進行させてしまう可能性があるため注意が必要です。
この他にも口にしてはいけない食べ物は数多くあり、ここで紹介しているものがすべてではありませんので人間の食べ物は与えないようにしましょう!また、少量のチョコレートを一度食べたとしても中毒をおこしてしまうかどうかは個体によって異なってきます。誤飲・誤食はさせないように気をつけてください☆
○中毒や誤飲の疑いのある時には・・・
もし中毒性の食べ物を誤って口にしてしまった際、吐かせたり、異物を取り除く処置を施したりする場合があります。来院される際は、以下の事をご確認いただけると、よりスムーズに治療をすすめることができます。
・何時頃食べたか?
・どの位食べたか?
・種類と成分を調べる
・どのようにして食べたのか?
・食べたものと同じものがあれば病院へ持参
食べてから時間が経てば経つほど体に吸収されてしまうので、少しでも早く病院へご連絡の上、お連れください☆